世界遺産『法隆寺』を歩く

日本初の世界遺産『法隆寺』の魅力を伝えたい。ついでに仏像やお寺の魅力も伝えたい。お寺巡りの参考書代わりに使ってもらえたらと思って始めました。

世界最古の木造建築群『法隆寺』

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奈良といえば…


他府県の方に「奈良といえば?」と聞くと、

「鹿!」

「大仏!!」

と大半の方が自信満々に答えてくださいます。

 

間違ってない。

めちゃくちゃ正解。

でも奈良が“鹿と大仏だけ”だと思ったら大間違い。

素晴らしい歴史や景観が至る所に点在する、ワクワク間違いなしの観光県なのです。

「そうは言っても京都ほど人気ないじゃん。」

まぁ、そうかもしれません。

 

世界的な観光都市“京都”に比べて、なぜか地味な奈良。

観光地までのアクセスの悪さ、商売下手さ、PR不足、宿泊施設の数…。

負けてるところを挙げればキリがありませんが、絶対に京都に勝っていると言えるところが一つだけあります。

 

それは歴史の古さ

日本で最初に都が置かれた奈良の歴史は、他のどの都道府県でも勝てません。

 

更に良いのか悪いのか、奈良が都となった時代はほんのわずか。

ですから大きな争いにも巻き込まれず、今も1000年以上前の建造物が多数残っているわけですね。

そしてそんな奈良でも特に古い歴史を持っているのが

このブログのテーマ『法隆寺』。

 

まず最初に、法隆寺についてお話しさせていただきたいと思います。

 

目次

 

日本最初の世界文化遺産

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1993年、奈良県内に衝撃が走りました。

“姫路城と法隆寺世界文化遺産に登録!”

というニュースが飛び込んだのです。

 

当時は「世界遺産って何なの?」というレベルでしたが、連日その快挙が報道される内に奈良中がお祝いムードに包まれました。

 

現在、日本国内に世界文化遺産は19件あります。

しかしその始まりは“兵庫の姫路城”、そして“奈良の法隆寺”の同時登録です。

 

つまり法隆寺は、日本で最初の世界文化遺産なるわけですね。*1

法隆寺が登録された理由

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クフ王ピラミッド

では、なぜ法隆寺だったのでしょうか?

日本には金閣寺東大寺清水寺など、法隆寺よりはるかに人気のある寺社が数多く存在しています。

いくつかありますが、その最たる理由は法隆寺世界最古の木造建築群だからです。

 

肝心なのは“木造”で1300年も現存し続けているということ。

“最古の建築物は…”と言われると、クフ王のピラミッドなどたくさんあります。

 ただそれらは全て石や土で作られた建物。 

常に腐敗や焼失の可能性がある木造りは決して長持ちする素材とは言えません。

そんな木造だからこそ、法隆寺は凄いわけですね。

奈良と京都は世界遺産の街

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清水寺

さてガイドをしていると、たまにこんな話を聞きます。

「奈良と京都のお寺ってほとんど世界遺産ですよね。」

ほとんど…は流石に言いすぎですが、確かに観光で訪れる多くの寺社は世界遺産に選ばれています。

ただし、法隆寺は少し毛色が違います。

 

例えば、京都なら清水寺金閣寺銀閣・東寺・三十三間堂 etc…

これらは全部まとめて『古都京都の文化財』という一つの世界遺産登録です。

 

奈良も同じです。

東大寺興福寺薬師寺唐招提寺元興寺 etc…

これら全てを合わせて『古都奈良の文化財』という一つの登録。

しかし、法隆寺はそのどちらにも入りません。

 

古都京都の文化財』『古都奈良の文化財

これらに先駆け、法隆寺は単独で世界遺産に登録されました。

それだけ歴史的価値を持ったお寺だと言えるわけです。

 

広大な境内

法隆寺をガイドする際、どうして譲れないことがあります。

それがガイドの所要時間。

 

もちろん旅行に来られているわけですから、出来るだけ効率よく多くの観光地を回りたい気持ちはわかります。

でもガイド付きで法隆寺を回る以上、少なくとも二時間は頂きたいのです。

 

「一つのお寺で二時間はちょっと…。」

はい、気持ちはわかります。

 

ただ甲子園球場五個分の広大な境内は、普通に拝観するだけでも一時間。

更にガイドがついてくれば、二時間ですらかなりギリギリです。

 

二時間でも四時間でも六時間でも話すことがある法隆寺

せっかく訪問されるのなら、是非ともゆっくり時間を使って拝観していただけたらと思います。

 

 法隆寺の境内

法隆寺に初めて来たとき、その拝観料の高さに驚くかもしれません。

大人1,500円。

子供(小学生以下)750円。

家族四人で来たら拝観料だけで5,000円ほど掛かります。

 

「普通のお寺は高くても1000円。高過ぎでしょ!」

いえ、それは大きな間違いです。

この1500円で入れるのは

西院伽藍・大宝蔵院・東院伽藍

の三か所。

 

一か所あたりは500円。

しかもそのどれもが、世界的にも貴重な宝物ばかりなのです。

西院伽藍

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西院伽藍

飛鳥時代の建築様式を残す“世界最古の木造建築群”

本尊“釈迦如来像”を安置する金堂や、日本最古の仏塔五重塔など法隆寺を語るうえで欠かすことができないメイン中のメイン。

大宝蔵院

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大宝蔵院

1998年に建立された、法隆寺の宝物館。

仏像マニア、歴史マニア、聖徳太子マニアなど、ジャンルを問わず全てを引き付ける法隆寺ブラックホール

東院伽藍

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東院伽藍 夢殿

 聖徳太子のお住まい“斑鳩宮”跡地に建てられた寺院“上宮王院”法隆寺が吸収合併した。

春と秋に公開される秘仏救世観音の美しさは、法隆寺随一。

 

今後の法隆寺記事について

これから書いていく法隆寺関連記事については、一般的な参拝コースの順番で見所を案内したいと思います。

法隆寺に行ったとき、順番に読んでいけばストレスなく一周出来るよう心がけるので、スマホ片手に楽しんでもらえると嬉しいです。

*1:厳密には法隆寺の建築物47棟+法起寺三重塔の計48棟が登録